pain?

mia  2009-06-01投稿
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「一先ず今日はベラ湿原の入口にあるチルビノまで行こう。今から急げば、夜には着く」

「そーだね」

フェンリはにっと笑った。

「でもさあ、ダニエルはよく僕らを行かせるよね」

「止められてもおまえは聞かないだろう」

私はフェンリをちらっと見た。

「そーだけどぉっ」

「ダニエルの狙いは、アリスを救うことじゃあないよ」

「どういうこと?」

フェンリは足を止めた。

「ダニエルの目的は、私をリヒネに向かわせ、軍にダメージを与えさせることだ…この漆黒の悪魔に」

私は俯いた。

「なーんだ、知ってたのかあ」

フェンリはフゥッとため息をついた。

「知ってたって…お前、ダニエルと共謀してたのか」

私はきっとフェンリを睨み付けた。

「違うよ。僕の目的はアリスだしね。…ただ、ダニエルの考えは察していただけ」

フェンリはニッコリと微笑んだ。

フェンリは、僅か16歳の少年だが、時々まるで大人のような顔を−−いや、自分より年上の人間達を遥か上から眺めているような顔すらする。その狡猾さと、彼の優しさという二面性が、時々私を警戒させてしまう。
味方なのはわかっている。しかし、彼が何を考えているのか、本心が掴めないのだ。

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