──恋とは、とても残酷である。
何かの本に書いてあったような気がする。
私がこの本当の意味を知るのは、まだ先の事になるだろう。
宮石くんとは、廊下ですれ違うだけの関係。
たまに挨拶を交わすぐらいで、特に話した事はない。
…でも、彼が話してくれた。
「これって真田さんのだよね?」
私の落とした物を届けてくれた。
「あ…うん。」
「良かった〜!違う人だったらどーしよーかと思った。笑」
「…あ、ありがとう。。。」
「どーいたしまして」
………笑った。
私は無愛想な返事しか出来なかったけど、
とても嬉しかったのを覚えている。
あの時は青春だった。
甘い片想いを満喫していたのだろう。