今
歩いているのは私か
私の中の彼女か
何処に向かうのか…
不意に呼び声、
『皐月…!?』
通りすぎ際で驚いた顔をして声をかけてきたその女性は…女性は…
誰…?えぇと…
酒のせいで頭がもやもやとまどろんでいる事ばかりでなく記憶の中に探せない姿顔に必死になる
怪訝そうな私の顔に
覗き込むように驚嘆の面持ちが近づく『皐月ってばどうしてたのずっと心配させて!』
早口で甲高い声
………!!え?
この声
親友の奈美が思い出せなかった
無理もない
誰かわからなくなるほど綺麗になっていた
『一年以上も行方知れずであんたの周りの人間も誰も音信不通だっていうし、あたしにも言えないようなところに行ってたの?え?何してたわけ?しかも最初わからなかったよ〜』
一方的に元気よく話しかけてくる親友の奈美とは一年以上会っていない。
当時高校三年
いわゆるガン黒だった肌と脱色のメッシュが入った髪も一転。見事に美白肌と栗色の柔らかそうな夜会巻きの髪がコンサバ風女性に変身させていた
そんな奈美とは対象的
私は真逆だった
荒れた肌もやつれた身体もボサボサの髪も
恥ずかしさを通りこして
自分ですら笑ってしまう