白い月がよりいっそう輝いて見えるくらい回りの空は暗くなっていた。その空を下から照らすように公園にある街灯が綺麗に光っていた。そんな公園のベンチに一人の少女が座っていた。黒のロングヘアーで腰の辺りまである。目は両端がつり上がっていて怒っているような顔だ。そんな少女はベンチにもたれ一人読書にふけこんでいた。
「久しぶりだな姫神 瑞希」
少女は後ろから聞こえてきた声によりいっそう両目をしかめた。
「…何で貴方がこんな所に居るの?黒梟」
少女の後ろに立っていた男は全身を黒いコートに身を包み顔をマスクで隠していた。久しぶりに知り合いと話す感じとしては素っ気なくだからと言ってまるで知らない人と話しているわけではないような感じに会話のやり取りが進んだ。
「な〜に君に依頼があるから来ただけなんだか…」
「貴方の依頼は何時も大変なモノばかりだからヤダ」
話の途中で堂々と断る姫神。
「心外だな!でも今回のは結構珍しい依頼だぞ?」
黒梟と呼ばれた男は楽しそうに笑いながら言う。一方姫神の方は
「じゃあ貴方の話を聞いた後で断るから話して良いよ」
とはなからヤル気ゼロの体制だった。
「それでは話すだけ無駄になるじゃないか私の話をしっかり聞いてくれ!」
日常茶飯事のようにケラケラ笑う黒梟にどうでもいいようなかおをしている姫神。
「まぁ内容だが天草礼治の保護・護衛が担当だ」