「俺はM2だよ。大先輩だな。」
その日はたわいもない話をして、去っていった。
それから、ときおり、俊さんと話をする機会があった。
俊さんはのっぽだ。
色白で、イケメンとは残念ながら、程遠い。
でも眼鏡が際だって似合う顔立ちだと思う。
真奈美に言わせれば、
「穏やかなカマキリね。」
らしい。
でも私は俊さんといるとドギマギしてしまう。
俊さんはどうだろう?
いつもそんなことを思ってしまう。
俊さんのタイプは?
俊さんの元カノってどんな人?
私は想像し、
なぜか真奈美から解答を得る。
「自分でもわからないらしいよ。女の子とあんまり関わったことないらしい。」
「彼女っていう彼女は大学一年のころ以来いないらしい。」
なんで、真奈美はこんなに知ってるんだろう?
聞いてみることにした。
「俊君は、徹がいないときに飲みにいっていい唯一の男友達だからね。
徹がめちゃめちゃ信頼してるんだ。」
「うそー、なら私も誘ってよ。」
「えっなんで?」
「なんとなく。」
「さてはー。」
「いいじゃない、なんでも。」
「ふーーーーーん。いいよ、今度誘われたら、いこっ。」
「ありがと。」
私はその日が来るのが楽しみでふわふわしてしまう。
バスケにもなかなか身が入らない。
これではまずいと思いながら、
でもふわふわしてしまう。
でも、現実は甘くない。
というのを身に染みて感じることになる。
初めて会って、一ヶ月、ベンチにいる俊さんを見かけた。
「こんにちは。」
私の悲劇はここから始まる。