ミユキが目が覚めた場所は、又してもベッドの上だった。
しかし今度はホテルのような場所でなく、コテージと呼ぶにふさわしい雰囲気の場所だった。
部屋を見回すと、ツインの小綺麗なベッドと、カントリー調のドレッサー、壁は木で覆われており、ログハウスであることが見て取れた。
マモルの姿は見えなかった。
開いた窓からは、爽やかな風が吹き込み、波の音が聞こえた。
ミユキは窓のそばまで近付くと、外の様子をそっと伺った。
白い海岸線、青い海、薄日の差す淡い空、そしてミユキのいるコテージの脇には、背の低い木立が日差しを遮り、柔らかな木陰を作っている。
木立の一本にはハンモックが架かっており、そこにぶら下がっているマモルの姿を発見した。
「マモルー」
風に掻き消されてしまいそうな小さな声で、ミユキは呼んだ。
しかし、マモルは気付かない。
ミユキは外に出て、直接マモルに近付いていった。ハンモックの上でマモルは、目を開けたまま、両手を枕にしながら黙って木の上を見上げている。
「アタシたち、知らないうちに眠ってしまったけど、どうやら無事に着いたみたいだね」
ミユキがそう言うと、マモルはポツリと、こう答えた。
「無事じゃねぇよ…ここは一体どこなんだ?」