「うぁあーー!!」
男は汗だくになって目を覚ました。
ベランダからは朝の柔らかい光が差し込んでいる。
「チクショー!またこの夢かよ!」
ここ1ヶ月近く同じ夢ばかりみているのだ。
男はシャワーを浴び嫌な汗を洗い流した。頭はズキズキと痛かったが、食欲はやけにあり、食パン3斤と目玉焼きとソーセージと昨日の夕食の残りのカレーを食べてしまった。
歯を磨きながら、ふと洗面所の鏡を見ると、以前より確実に痩せている自分がいた。
「最近食ってばかりなのになぁ?ストレスの所為か?」と思っているうちに、家を出なければならない時間になって、自転車で大学へ向かった。
大学に着くと鼻がムズムズしたので鼻をかむと、ティッシュペーパーに数匹の小さな虫が鼻水と一緒に付いていた。
自転車を乗っているときに鼻に虫が入ったのだろうと気にも留めなかった。
実験室に入ると小学生のころから友達の翔太が近づいてきた。まだ授業始まるまで時間があるようだ。
「おはよ〜大輔!今日も調子悪そうだね〜。またあの夢みたの?」
楽しそうに言い放った。
「あぁ。もう最悪だぜ。」
「ははッ。何か虫に恨まれることでもしたの?」
これまた楽しそうに言った。
「やってねーよ!……。」大輔は顔が少し歪ました。
「そっかー。ははッ。」
「ところで話し変わるけど、大輔って脳内メーカーやったことある?」
「ないけど。どうしてだ?」
「ケータイで脳内メーカーできるサイト見つけたんだけど、自分の名前入れてみたらНと金と遊って出てきたよ〜」
翔太はいつもこうやって元気付けてくれるのだ。
「スゲー当たってるじゃん!」
俺もふざけて返す。
「当たってないよ〜。じゃあ大輔も脳内も僕が調べてあげるよ!」
翔太はケータイを出し俺の名前を入力して、決定を押した。
しかし数秒たってから翔太の表情が曇った。
「……気持ちわるッ…。」
俺は翔太の携帯を取り上げ画面を覗き込んだ。
「…これ…でたらめだよな……。」
画面の中の俺の頭の中には無数の虫という漢字が蠢いていた…。