スラム part55

やいち  2009-06-02投稿
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地元の駅に着いてから、少しずつ歩き出したころ。

「あの、嘉谷さんですか?」修二は振り返った。
小学生が1人立っている。どっかで見たことある顔だ。

「あっ、伊織か。」
「覚えててくれたんですね。さっき電車降りるときに見かけたんで。」
見ると、手にカバンをぶら下げている。
「どっか行ってたのか?」
「あぁ、ちょっと塾に。」
「塾行ってんのか?しかも電車で。」
「塾が市内のほうなんで。進学塾はこのへんにないんで。」
「へぇ。中学受験すんのか。てっきり伊織は柔道の強い学校行くのかと思ってた。」
そう修二が言うと、少し伊織が困った顔をした。
「あの、嘉谷さん進学校なんですよね?ちょっと相談したいんですけど。」
「どうしたんだ?」


公園で、小学生の相談を聞くことになった。
「えっと、僕、柔道の名門中学からうちにこないかって言われてるんです。」
「すごいじゃねぇか。」
「ありがとうございます。でも僕親には受験をするように言われてるんです。それに目指してる中学には柔道部がなくて、学校終わるのも遅いんで嘉谷先生のとこに練習にもこれないんです。それで悩んでて、嘉谷先生にも相談したんです。」
「なんて言われたんだ?」
「なんかのためになんか捨てるなんてのはな、まだまだ早い年やんけ。受験にも柔道にも迷って焦らんでもええ。って。」

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