貴博『俺二年の野中貴博、君は?』
女子生徒『…い、一年の石倉望(いしくらのぞみ)…です』
いい声だ。
エコーをかけたい。
望『え…と、あのう…』
貴博『ん?何?ヒゲの剃り残しでもある?』
望『はは…面白い人ですね…』
明らかに俺を警戒した堅い表情。
望『それじゃあ私はこれで…』
そう言うと彼女は早足で屋上の出口に歩いていった。
貴博『あ!ちょっと待って』
俺は彼女の横に並んだ。
望『なんですか?』
明らかに不機嫌な声で言った。
貴博『なんであんな悪っぽい奴等に絡まれてたの?』
望『別に…大したことじゃありません』
とりあえず話したくない訳ね…。
貴博『つれないなぁ』
望『野中さん』
足を止め、俺の目を見て言ってきた。
望『さようなら』
彼女はまた歩きだした。それは明らかに拒絶の言葉だった。
貴博『ん〜…、難しいねぇ…』
俺はそこまで嫌われることをしたのだろうか?
貴博『まぁいいや、俺も帰るか』