* * * * * *
それから、あたし達3人は教室に戻り、
いつもの退屈な授業を受けていたのだけれど――
ブォン‥ブォン‥ブォォォン―ー‐
突然、バイクのアクセル音がし、
それに気付いた、クラスメイト達がざわつき始めた。
“おい、バイクが正門前に止まったゼ?!”
“あっ、メット外した。金髪ヤローだ!!”
“誰かの知り合い?!ヤダァ〜〜。”
“でも見て。結構カッコ良くない?!”
ザワザワザワザワ――
『こ、こらっっ!!お前達!!
今は、地理の授業中だぞ!!』
社会科の渡部先生は、気が弱くて声が小さい。
だから、クラスメイト達に、先生の必死の訴えなど、全く聞こえていない。
“きゃあ〜ッッ☆
あのヒト、イケメン俳優の水沢ヒロに似てるぅ〜〜〜♪♪♪”
“いや、生嶋トーマよ!!”
クラスメイト達は、みんな窓際に集まり、
バイクに乗った、その男に注目していた。
『‥‥だ、だから、みなさん‥‥。
今は、わ‥私の授業中なワケで‥‥。
“エロマンガ島”を地図帳を見て探しなさい。』
“渡部うるせーぞ!!
エロマンガ島だか何だか知んねーケド、
1人でイッて来いよッッ!!”
“きゃあ〜〜ッッ☆
何か、ケータイ持ってるわよ。
誰かに電話してるのかな♪”
渡部先生かわいそう。
でも、みんなにいじられて、ちょっとだけ嬉しそう。
結構、“M”だって噂だから。
それにしても、
女子はイケメン好きよね。
あ、あたしも見たいケド、チビだから無理。
みんなの頭しか見えないよっっ。
『奈央ォ〜。聖人の方見てよ。』
ボーッとしていたあたしの横に、
いつの間にかユカが立っていた。
『う、うん。
聖人、ケータイで誰かと話してる?!
誰と話してんのかな???』
あっっ。
もしかして、
外にいるバイクの人って、聖人の知り合い???
『今、正門前にいるバイクのイケメンは、“魔羅威夜”の京谷さんよ。』
あたしがソレに気付くと同時に、ユカが言った。