ガタンッッ―ー‐
『聖人?!』
あたしの声にも気付かずに、
聖人は、椅子から立ち上がり、
教室を出て行った。
『奈央。聖人は何か、京谷さんから情報を得たのかもしれないわね。』
『う、うん。』
クラスメイト達の間を分け入って、
あたしは窓から、
正門前に停まるバイクと、
そのバイクの上に座る人物をじっくりと眺めた。
京谷さん。
そして、
その側に立つのは聖人だ。
京谷さんと聖人は、少しの間、何か話していたかと思うと、
すぐに、聖人が京谷さんのバイクの後ろに乗った。
ブォン‥ブォン‥ブォォォォン―ー‐
“お、おい。北岡がヤツのバイクのケツに乗ったゼ?!”
“北岡は、ヤツと知り合いなのかよ?!”
“バイクの金髪のカレもステキだケド、
やっぱ、北岡君カッコイイ〜〜〜♪”
“いやいや、バイクのカレの方がステキですぅ〜〜♪♪♪”
聖人を乗せた京谷さんのバイクが、正門から出て行くと、
クラスメイト達が再びざわつき始めた。
『だ‥だ、だ、だからみなさん!!
僕の授業を真面目に聞いてってば!!』
ごめんなさい。
渡部先生には悪いコトをしちゃったケド、
あたしは、
京谷さんが聖人に何を伝えに来たのか、凄く気になって、
授業も、
まともに頭の中に入らなかったんだ。