勇一は、幸子の驚いた表情を見て、幸子に聞いた。
「封筒?この封筒がどうかしたの?」
その言葉に、幸子は我に帰った。
「え?あっすみません。休憩中のところ。残りの時間は、荒木さんに指示仰げと佐野さんが…」
「そう…わかりました。じゃあ残り10分くらいですから、仕事の感想でも聞きましょうか?どうでした?疲れましたか?」
「ええ。こういった仕事は初めてなので…」
「どうですか?やっていけそうですか?」
「はい。大丈夫です。」
「ああ、そうだ。佐野さんに聞いたけど、外人のお客さんに応対してくれてたんですね。素晴らしいですよ。俺も勉強しなくちゃ。英会話得意なんですか?」
「ええ…昔ちょっと勉強してて」
「そうですか。じゃあ機会があったら少し教えてください。明日も頑張りましょう」
「はい。…あの〜1つ聞いていいですか?」
「何か?」
「あの、さっき読んでらした手紙…とゆうか、封筒は…」
幸子は、勇一の持っていた黄色の封筒が気になっているようだった。
「封筒?この黄色の封筒が気になりますか?」
「ええ」
幸子は素直に認めた。
「そう…昔ね、付き合っていた彼女がね…まだ携帯が頻繁じゃないころ、手紙でやりとりしてたんだ。15年ぶりに手紙くれてね…」
「15年ぶり…ですか。お元気なんですか?」
「いや、亡くなってたよ」
「え?亡くなって…」
幸子は聞いたことを後悔した。
「すみません。余計なことを聞いてしまって」
「いや、いいよ。
それより夕樹さん、封筒に何か思い出でも?」
「…」幸子は、しばらくうつむいていた。
それを見て、勇一は、「ごめんなさい。何か聞いちゃ悪そうだね」
「いえ、思い出があるものですから…
私も、2年前に付き合っていた彼が、携帯のメールと同じくらい手紙をくれてて、その…彼が使っていた封筒に似てたんです。彼亡くなりましたけど…」
何とゆう偶然だろう。
「そうか。お互い辛いことがあったんだね。でも、ごめんなさい。
幸子は、首を横に振った。
「とんでもないです。仕事、明日からも頑張ります。失礼します」
「はい。お疲れ様です」
幸子は、すまなそうな表情のまま、休憩室をあとにした。