3パーセントの愛(5)

麻弥  2009-06-03投稿
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ワタシは空を見あげて、おもいっきりため息をついた。

「ぷは〜。寒っ。」



フラつく頭に心地よさとイラ立ちを感じながら、振り袖をなびかせてロヨロと歩く。



ひとりになると、考えてしまう。



どうして人を好きになれないのか?

それは自分が愛された記憶がないから。


上っ面の付き合いでなんとかなったし、これからもそれでやっていけると思う。



なんか無性にさみしくて、ケータイに手を伸ばしたその時。



急に吐き気が襲ってきた。
急いで道端にしゃがみこんで覚悟を決める。


「うっ・・・っ。」


めでたく、お祝いで頂いた食事とアルコールを全て吐き出した。



「おえ〜。最悪・・・。」



またすぐ波が襲ってくるような気がして、しゃがみこんだままサナギのようにじっとしていた。





・・・ポツ・・・ポツ・・・ポツ・・ポツポツポツ・・・ザーッ



「っ最悪。雨だ・・・っ。」


ついてないなあ。

これじゃドラマのワンシーンより悲惨だよ。



ワタシって今すごくかわいそうじゃない?


ハタチのお祝いの日に、真っ赤な振り袖着て道端で吐いて、雨に打たれて、おまけにひとりぼっち。



なんだか今までの人間関係が浮き彫りになった気がして、泣けてきた。




ワタシはひとりぼっち。


嗚咽と涙が止まらなくて、胸がきゅーって苦しい。



苦しい。
もうだめ・・・誰か、誰か助けて。





「・・・あのー、大丈夫ですか?」


若い男の声にギクッとする。

顔をあげずに目線を足元にやると、だぼっとしたグレーのスーツにヴィトンの革靴。



「大丈夫?」


若い男は心配と興味の表情を浮かべて、正気に戻ったワタシの横にしゃがみこんだ。



「大丈夫です、ありがとう。」

なるべく目線を合わせないようにしてサッと答えた。

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