最近は
仁先輩が迎えに来てくれるのを断っているんだか
仁先輩が忙しくて来れないんだかはわからないが
今までのように
仁先輩とバイクに乗って一緒に帰る
という事は無くなり
毎日のように
ヒーとニチの所に寄っているようで
オレが行くと必ず
すでにそこに居る晶
まるで待ち合わせをした
恋人同士のような
そんな毎日のここでの時間が
オレの楽しみの一つにもなった・・
そんなある日
いつものように学校の帰り
ヒーとニチがいる公園に寄ると
晶がニチを抱きながら
「ヒーーちゃーん
どこにいるのーー?
ヒーーちゃーん」
と、そこらの草をかき分けながら
いつもの晶とは違った
悲しげで、少し険しい表情をして
ヒーの名前を呼び続けている
ヒーがいなくなったのか?
オレは晶のもとに駆け寄った
「オイ、どうした?」
「藤本昌平君
来てくれて良かった」
晶は少しホッとしたようで
さっきまでの
悲しく険しい表情は少し和らいだ、が
「ヒーちゃんがいないの」
と、今度は今にも泣き出しそうな顔になる
「いつもみたいにその辺
チョロチョロしてんじゃねェの?」
オレは晶を少しでも安心させてやりたくてそう言った
「この公園の中はもう全部探したの
けどどこにも居ないの
どうしよう、道路に出て
事故にでもあっちゃったら」
晶はニチを抱きながら
その場にしゃがみこんだ
「オレも一緒に探すよ
もう一度、公園の隅から隅まで探してみようぜ」
「うん、ありがとう」
晶はやっと少し笑顔を見せて立ち上がり
そして二人で
ヒーの名前を呼びながら
公園中を探し回った・・