「さようなら…。」
彼女は引越しのために僕の前から去っていった。
最後駅のホームで泣きながら何度も抱きあってキスをした。
僕の夢は彼女との幸せな家庭を作る意外になにもなかった。
「遠恋じゃ駄目なのか?」
僕の問いに彼女はうつむいた。
「ごめん…。」
ただ彼女は泣きじゃくるだけだった。
「もういい。あっちに行ったら僕のこと忘れて。」
彼女はただ泣きじゃくるだけだった。
彼女が去っていったあの日から僕は壊れた。そんなある日、僕の部屋に一匹の青い蝶が迷い込んできた。結局その蝶は太陽の光を頼りに出ていった。
僕にもこの手の中に夢があるのならあんな風に飛べるのだろうか?
一人前じゃないけど、まだまだ未熟者だけど、彼女の元に行きたい。
彼女無しで俺の夢は叶わないのだから。
僕は駅のホームに立つ。小さな切符を握りしめて。
この手の中に夢を握って、今迎えに行く―。