「栞!また出来たー!」
そんな私を余所に、優也は、また歌が出来たらしい。
…もちろん、彼女に向けての。
「今度のはバッチリだと思うんだけどー」
「いいよー!聞いてあげる!」
「まぢ!?聞いて、聞いてー」
ギターを抱える。
「いくよ。」
そう言うと、歌い始めた。
─僕らは幸せなのかな?
一緒にいて
手を繋いで
触れ合って
笑い合って…
あの日見た空の色
覚えてる?
僕らを繋ぐように
虹が架かっていた…
「……栞?」
私は泣いていた。
いや、自然と涙がこぼれた。
優也は今、幸せだ。
そう思うと悲しくて、
そう思うと苦しくて、
なぜか…嬉しい。
この想いは…なんだろう。