ほんの小さな私事(8)

稲村コウ  2009-06-04投稿
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確かに先生が困るのもわかる。それは、知識の無い上で顧問として勤めるのは大変だろうし、何より、単に指導を行うだけでなく、大会出場の為の手続きをするなど、やる事は様々あるわけで…。
「牧野が弓道部に所属するのは構わないし、私も、掛け持ちで顧問を勤めてやりたいのも山々なんだがな…。さすがに剣道部の指導が手一杯なんだ。」
「名目上だけってわけにはいかないの?」
高野さんがそう言って、私の支援をする発言をしてくれるのは確かに嬉しい。でも、瀧口先生の気持ちもわかるので、私もちょっと困ってしまった。
だが、そんな時…
「それならワシが面倒見てやろうかね?」
突然、後ろから、そんな言葉が聞こえてきた。振り替えるとそこには、前屈みで腰の後ろに手を回し、その手にホウキを持った年配の男性の姿があった。
帽子を深々と被っていて、顔は半分隠れていたが、その奥に、温厚な笑顔が見えていた。
「山崎先生!」
「あれ?用務員のおっちゃんじゃん。」
瀧口先生と高野さんが、同時にその男性を見てそう言った。どうやらこの方は、この学校の用務員らしい。
「詳しい事までは解らんが、あの道場を管理しているのはワシだて。それに、今まで、弓道部の活動はよう見とったからな。瀧口先生よりは色々とわかると思うで。」
「そう言えばそうでしたね。確かに私が面倒を見るよりは、山崎先生に面倒見て貰う方が良いかと思います。」



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