迷想

コトミ  2009-06-04投稿
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「先に慎から教えて。」
「じゃぁ、耳貸して。」
そう言われ、私は慎に耳を傾ける。

胸がドキドキする。

「雪。」

ただそれだけだった。
慎はそれだけを言い、
「お前の番。」

と、せかすように言う。
ショックだった…。

もう両想いではない。

それでも、私は言いたかった。

…慎に、この想いを伝えたかった。

「私は、慎が…慎が好き…だよ。」

耳うちで言ったりはしない。ちゃんと目を見て、直に言った。

それでも、慎からの返事は無く、その日は終わった。

月曜日の事だった。

私は気まずい気持ちで学校に向かう。

悪夢の始まりだった…。
慎が自然と私を避けるようになったのだ。

何も話さなくなり、私が近くに居ればすぐに離れる。

毎日、毎時間そうだった。

そしてある日、私は聞いてしまった…。

その時は丁度、総合の時間で私と慎は席が近かった。

「あいつ、俺の事が好きなんだって。マジキモいよな。」

慎の声だった。

私はただその会話を聞いているだけだった。

慎の周りには、仲の良い男子が5人ばかし居た。
それからというもの、自然とその事は広まっていき、ついに男子による冷やかしが始まった。

毎日嫌味っぽく言う言動。
慎の隣りを偶然通っただけでも、必ずしも内緒話が絶えなかった。

嫌だった。ただ慎を好きになって告白しただけなのに、ここまで言われる事が分からなかった。

それから次第に冷やかしは無くなったが、あの日から慎の態度は変わらぬまま、約二年がたった。
さすがの慎でも、忘れてると思ってた。

なのに、覚えてたんだ…。

少しだけ、胸が痛む。

それから私はトイレに行き、教室へと戻る。

今木さんは待ってましたと言わんばかりにまた話かけてくる。

さっきの事もあり、私は面倒臭いといった感じで、その話を聞いていた。

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