月の晩 思い出すのは 幸せだったあの頃 いつものように細い路地を駆けていった。貰ったばかりのお小遣いを握り、いつもの飴屋へ急ぐ。かわいい着物の裾が楽しげに揺れる。 「みーちゃん今日は何にする?」 「真っ赤な飴と青い飴!」 「そうかい。それじゃあ、包んであげるから諷太郎と遊んでおいで。」 優しい夜はもうこないらしい。夢は見るほどに苦しんだ。 だからこんなとこにまだいる私は帰り道を忘れた。 そう、もう戻れないという。
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