1日とりあえず我慢したものの、2日目、いてもたってもいられない程、亜子に逢いたくなった。何気に車を走らせ、亜子の車を見つけた。
淳は携帯で亜子に連絡をとってみた。
「携帯使えなくて、不自由してない?」
亜子は少し笑って「仕方ないよ…親子で食べていく方が先決だから。」
「この前言ってた、CD持ってきたんだけど、受け取って貰えるかな。」と、淳は少しいたずらっぽく聞いた。
「え? 持ってきたって、家知ってたの?」と亜子はものすごく驚いている。
「いつもと違う道を運転してたら、車見つけて。」と淳はあくまでも、平静と偶然を装った。」
亜子が玄関から顔を出した時、淳はもう長い間逢う事が出来なかった彼女の顔をやっと見れたと言う位の喜びを感じた。
「これ。」CDを渡しながら「良かったら一緒にビールでも飲まない?」と亜子を誘った。
亜子はCDを受け取りながら、この前の話の続きでもしようかと快く玄関のドアを開けた。
「子供達、今日は早く寝ちゃってるから、テレビ見てたんだ。」と亜子は少し散らかった部屋を片付けながら言い、2人で仕事の話や学生時代の話で盛り上がった。
「また、来ていいかな。」淳は帰り際、何気に聞いてみた。
「友人としてならいつでも歓迎するよ。」と、亜子は笑って言った。
「さっきも話たけど、男女でも、成り立つと思うしね。」とあっさりとした口調で亜子は見送ってくれた。淳は、人と関わるのが、こんなに楽しく、安心出来るものかと、帰ってから実感していた。
「やっぱり価値観って大事だよな…」淳は独り言を言いながら静かに眠りについた。