義春がピエロと会話している頃−
「・・・繰り返します。生徒は皆シェルターに避難して下さい。」逃げまとう人々の最後尾に小夜と朝紀はいた。
「これじゃなんの訓練だったか分からないな。」
「確かにね。いつも威張ってる奴も慌てて逃げてるし。カッコ悪い。」
生徒の逃げる姿を冷静に後ろから観察する二人。
「っと、そういえば義春はどこ?」小夜の発言でようやく義春がいなかったことに気付く朝紀。
「確かにいないな。ちょっと探して来る。」
「ちょっと探して来るって散歩に行くのとはわけが違うんだからね。」
「分かってるって。」
小夜の心配をよそに走って行く朝紀。
(義春はピエロの事を知ってた。そのピエロが教室棟に現れたってことは恐らくそこに義春も・・)
渡り廊下を渡り、教室棟の一階に着いた朝紀。
「くそっ、二階か・・」
一階を探し終えた朝紀が悪態をつきながら二階への階段を昇る。
「おっと、お出ましか。」
昇ってすぐの廊下で立ち止まる朝紀。
目の前では返り血を浴びて真っ赤に染まった道化師が死体の上を歩いていた。