ー訂正ー
28の「もし…もしもですよ…」のくだりは、男ではなく、女のセリフです。
物語へ…
仕事を終えた勇一が、嶋野のもとへ行く途中、正に出くわした。
「おお、中村お疲れ様。お互い異動になったな…」
「ああ…」
元気のない正の返事に勇一は戸惑った
「どうしたよ。異動がそんなにショックかよ?」
「いや〜、いや〜…なんかさー、この店でも、ロマンスなかったなあ〜俺。お前はいいよな。新井さんに告白されてさあ〜」
「告白?されてないよ。飲みには付き合ったけどな」
「お前はどこまで鈍いんだよ。彼女は明らかに、お前に好意もってるじゃんかよ」
勇一も、そのことは、うすうす、解ってはいたが、自分自身が今抱えている問題に、けりを付けてから、と思っていた
「ありがとな。中村。けど、俺自身が抱えている心のわだかまりを解決したいんだ。異動まで、もう少しだから、早く解決するよ」
「わかった…。俺も協力するよ」
「ああ。ところで中村、佐野さんとのことは、どうするんだよ?」
勇一の不意の質問に、正はうろたえた
「佐野さん?な、なんでだよ。そんな恋愛感情なんてないぜ!」
正はむきになってみせてはいたが、内心、どこかで気になってはいた。
「その言い方は、多少なりとも気になってるだろ?…なあ正、何年も恋愛感情をなくしてた俺が言えた身分じゃないけどさ…」
勇一は、少し間を置いて、「付き合っていくことって、きっと憧れとか、理想とか、相手の見た目とかじゃないと思うよ。例え最初はそうでも、長続きはしないと思う」
「そうかなあ…」
今一、納得していない正に勇一は続けた。
「お互いの良いとこだけ見たって、欠点を注意出来なかったら、きっと窮屈になるよ。佐野さんは、今までだって、仕事で、ダメだししてくれたり、意見言ってくれたり、助かってるよ」
「そうか…。でもなあ〜彼女がどう思ってるか…」
「佐野さん俺らと歳近いし、独身だし、まあ、アタックあるのみだよ。応援するからさ」
「勇一…なんか、神みたいに思えてきたよ。ありがと」
「ああ。じゃ俺行くわ。嶋野さん待ってるから」
「わかった。また明日な」
「ああ。また明日な」
正と別れ、勇一は嶋野のもとへ向かった。