啓吾は只ひたすら走っていた。啓吾は立ち止まる。息が荒いなか辺りを見回すと道路の両側には緑の草木が遠くの方まであるところだった。啓吾は道路に腰を下ろした。
「足手まとい・・・か」
啓吾の頭の中には、怜と龍華がいった言葉がグルグルと渦を巻くように回っていた。
「仲間なのに、そぅ簡単に捨てられるかっての・・・」
と、小さな声で啓吾は言う。
「あっ・・・、えーっと・・・」
横から聞き覚えのある声が聞こえた。啓吾は声のするほうに顔を向けた。そこに立っていたのは翔だった。
「翔・・・」
「どーしたんだよ。こんな所で」
と、言うと翔は啓吾の隣に座った。
「いや・・・、別に・・・」
「まさか、俺らの事?」
啓吾は一瞬ビックリして小のほうを見た。そして、小さく頷いた。
「そぉか・・・」
「御前、記憶は戻ったか?」
と、啓吾が聞くと翔は首を横に振ってから言う。
「全然。3年前何をしてたのか思い出せない・・・」
「そぉか・・・。舞は?」
「舞様は、意識を取り戻して順調に回復してる。舞様も記憶は戻ってない・・・」
「そぉか・・・」
と、啓吾は小さな声で言った。しばらく2人は黙ったままだった。