眠い。
眠い目をこすり、開けようとするが、まぶたは、重い。
今は、一時間目。
そして、よりによって古典なのである。
一時間目であることと、つまらない授業であることが足されて眠さが来るのである。
はぁ。
ふと、右斜め前を見ると、席がぽっかり開いていた。
永井 拓哉
昨日から、休んでいるみたいだ。
しかし、もともとクラスで目立つ存在でもないため、皆余り気にしてないようだ。
そう。
目立たないのだ。
全く誰とも話さない訳ではない。だけど、女子の立場から言わせて貰うとやはり、どこか垢抜けないじゃないけど、はっきりしない存在なのだ。
彼は、授業中にペン回しをするのが癖のようだ。
たまに、勢い余ってペンを落とした時のあの、表情が私の席からよく見えた。
その表情がどこか私は、好きだった。