「あと、ヒトリ。」
口元を歪め、カロウドはランスォールにも剣を降り下ろした。
「ランス!」
「く…っそ、なんて強さだ」
連続して繰り出されるカロウドの攻撃をランスォールは受け流すだけで精一杯だ。
いつの間にか、祭壇まで追い詰められていた。
「くっそぉ…」
「『風よ 我に従え
嵐よ 吹き荒れろ』!!」
壁に追い詰められたランスォールを助けようとシーラの風の刃がカロウドに突き刺さる。
しかしカロウドはそれを気にする様子もなく、剣を降り下ろした。
「(ここまでか…!)」
目を閉じてやがて自分を襲うであろう衝撃を待つ。
しかし、その衝撃はどんなに待ってもやって来なかった。
代わりに聞こえたのは、もっと鈍い音。
目を開けて最初に見えたのは揺れる銀髪。
目の前で飛び散ったのは花のような鮮血。
その全てが今起こっている真実であると、まず心臓が知った。