窓を開けると、そこは雨のにおいが漂う空間であった。 その瞬間に、部屋の中がじっとりと粘り気のある空気につつまれた。 寝起きの気だるさのなか、仕方なく重く湿った空気を吸い込む、決してエネルギッシュではない私の肺胞。 私の中を湿り気で満たした空気は、私の体内にとどまることを嫌がって、白い息となって屋外に放り出される。 2008年、冬。 雪子と名付けられた私は23歳を迎えた。
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