それから、
社会科の授業が終わっても、
次の国語の授業が終わっても、
その日全ての授業が終わっても、
あたしの携帯に、聖人からの連絡は無く、
あっと言う間の放課後――
『奈央。帰ろ。聖人なら心配ないって。
落ち着いたら何か連絡があるわよ。』
『うん。でも、やっぱ、まだ処分が決定する前だから、派手な行動をして欲しくないし‥‥。
京谷さんがバイクに聖人を乗せて、どこへ行ったのかも気になるし‥‥。』
『もしかして‥‥森宮についての情報を得たのかもよ?!』
『う‥ん。でも、どっちにしろ、聖人から連絡が無いと分かんないし‥‥。』
『んもうっっ!!
奈央ってば!!
くよくよ考えないのっっ!!
もう帰ろ?!ね?!』
『あは。そだね!!
でも、ユカも家に帰りにくくない?!
校長が、今日のコト、ユカのお父さんに報告するって‥‥。
渋川が言ってたじゃん?!』
何てったって、
ユカってば、
森宮にビンタしちゃったんだからっっ。
あたしだったら、絶対、家に帰りたくないっっ。
『チクリたければチクればいいのよ。
あたしは別に、真実を言っただけだから。
大人の事情なんて、知ったこっちゃないわよッッ。』
そんなあたしの心配をよそにして、
ユカは強気な言葉を返してきた。
『ユカ。変わったね。』
思わず、口から飛び出してしまった一言。
あたしの一言に、ユカは不思議そうな顔をしてた。
『そう‥‥かな?!
自分じゃよく分かんないケド‥‥。』
そう言って、ユカは笑った。
そして、
その後、こう言ったんだ。
『もし、変わったのなら‥‥。
あたし‥‥奈央にとって、ますます嫌なヤツになってないよね?!』
ユカの意外な言葉にびっくりしたあたしは、
『なってないよッッ!!』
そう言った。
あたし――
何をムキになってたんだか――
その後、2人で大笑いしたよね?!――
大人の敷いたレールの上を――
あたし達は当たり前の様に突き進んで行く――
それが正しいのか、正しくないのか――
常に胸に矛盾を感じながら――