ヒビキ
『あんた達……卑怯よ…結局、達也はパラディンに入らないといけないじゃない!』
真司
「……………」
会長は口を閉ざしたままこちらを向いていた。
突然、ヒビキが僕の手をとった。
ヒビキ
『達也!!こんな所にいちゃいけない!行くよ!!』
達也
「え!ヒビキ!?」
ヒビキは僕の手を掴んだままドアを勢いよく開けて外に出た。
真司
「どこに行くんだ?」
ヒビキ
『帰るのよ……卑怯者となんかと居たくないからね!!』
そのままヒビキは来た道を帰ろうとした時だった。
真司
「……一つ警告しておこうか。桐原君」
達也
「なん…ですか……?」
ヒビキ
『達也!!』
不意に会長はそう言って僕を呼び止めたがヒビキは、尚も僕の手を引いて路地に入ろうとしていた。
真司
「ひき逃げ犯には気をつけることだな」
達也
「え…………?」
少し遠くて聞き取り難かったが確かに僕にはそう聞こえた。
僕はそのままヒビキに手を引かれ来た道を戻って行った。
ミサキ
「よかったんですか?あれで……」
真司
「汚れ役は慣れてるよ」
そう言うと高崎会長は喫茶店の中に戻って行った。
…………………
…………
……
通学路 桐原邸付近
ヒビキ
『あ〜〜〜!!ムカつくたらありゃしない!!あのクソ会長!!』
達也
(落ち着きなよヒビキ)
ヒビキ
『これが落ち着いていられるか!!』
ヒビキは先からこの調子だ。
よほど会長に言われたことが気にいらなかったらしい
ヒビキ
『達也はあんな風に言われて嫌じゃないの!』
達也
(まぁ……嫌だったけど……仕方ないんじゃないかな?
なんの因果かは、知らないけどファクターなっちゃったわけだし)
ヒビキ
『……………呆れてものが言えないよ』
そう言うとヒビキはそっぽを向いてため息をついた。
でもヒビキが言う通りあまりいい気はしなかったのも確かだった。
今日は一度にたくさんの事が起きたせいか頭の中がパンクしそうだった。
達也
(早いとこ家に帰って頭の中を整理しよ)
そう思うと僕は足を速め家に急いだ。