乗り場には着いたのだが、咲希たちの姿が見当たらない。
「…あれ?」
鈴がおかしく思い、もう一度辺りを見回す。
「弘瀬。お前はめられたんじゃねえの?」
「!?」
鈴は今更ながら気付いた。咲希ならやりかねない。
「…。あ、携帯。」
鈴は打開策を思い付いたかのように携帯を取り出し、恵里子に電話をかける。
(恵里子なら出るはず…。)
と淡い期待を抱いたのだが、留守番になってしまった。
一方の柚希は電話をかける様子もなく、辺りをぼうっと眺めている。
(はあ…。みんな出ない。)
男子の方にも電話をかけたのだが、出るはずもない。
「…あのさぁ、弘瀬。」
「ん?」
鈴は諦め、ここでみんなと合流するまで大人しく待っていようと思ったのだが、
「どっか乗り物乗りに行かない?」
(はぁ?)
柚希の提案に対して、鈴は心中で拒否したのだが、
(でも…断ったら可哀想だよな…。)
と優柔不断なところを隠せなかった。
「あ、いや、無理にとは言わないよ?」
柚希は気を使って言ってくれてるのだろうが、その優しさがまた心に響く。