(あいつを見てるとホッとする…でも、今の俺じゃ…)
拓人はゲームをしながら、美優の事を考えていた。
なかなか素直に接する事の出来ない自分を歯がゆく思っていた。
小学校の時から好きだった美優。まさか高校で再会するとは思ってなかった。
美優から笑顔で声をかけられた時、懐かしさと同時に小学校の頃の美優のコロコロ変わる表情を思い出していた。
いたずらすると顔を赤くしてムキになって怒ってきたり、授業で当てられ、答えがわからず困っているとき、拓人が助け船を出すと安堵の笑みを浮かべたり、学校で飼育しているウサギが亡くなると涙を浮かべ、悲しんでいたり…。
なかでも笑っている美優の表情が一番好きだった。
その笑顔で元気付けられてる自分がいた。
高校になって声をかけられた時、少女から大人の入口へと変貌を遂げた美優に出会い、その笑顔は懐かしさと輝きに満ちていた。
美優に惹かれながらも、今現在の自分の状況と心の在り方に大きなギャップを感じていた。
今までの歳月、いろんな出来事があり、拓人は自信と希望を失っていたが、再会した美優の存在で、自信を取り戻しつつある自分がいる事にも気が付いていた…。