「多分、どこかの国のリゾート地じゃないカナ?海もキレイだし」
ミユキは答えた。
「だけどよぉ…この辺を一回りしてみたけど、何にも無くて、どこの国かも分かんねぇんだよ。第一、人も居ねぇし」
マモルが不安そうに言う。
「確かに、何にも無さそうな…とりあえず、亀山さんに聞いてみたら?」
ミユキは辺りを見渡しながら、そう答えた。
「その亀山も、どっかに消えちゃって、姿見えねぇんだよ!」
マモルは半ばヤケクソ気味に言った。
「そっか…また何処だか分からない場所に来ちゃって…どんどん離れて行っちゃうね」
目の前の海を見つめながら、ミユキは何故だか涙が溢れ出た。そして、身に付けていた半月型のペンダントを手に取ると、そっと中に入っている写真に向かって、ささやいた。
「ショウ…迎えに来て」
波の音だけが響いていた。
その間マモルも、黙ったままハンモックに横たわっていた。
「オーイ!迎えに来ましたぁ」
突然、声が聞こえた。
ミユキは涙が振り落ちるくらいに、その声に向かって素早く振り返った。マモルもまた、ハンモックから半身を起こし、声のする方へと注目した。
――声の主は亀山だった。
亀山は、二人の予想もしない格好で、走ってやって来た。