人生の味[3]

ニコル  2009-06-12投稿
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学校が終わった帰り道、僕は歩道沿いに一輪だけ白い花をつけた樹木をみつけた。


しばらく見ていると、ふいに後ろの方から声が聞こえてきた。


「それはなぁ、ニセアカシアって言うんだ。」

ふりかえると白い髭を生やした、八十歳前後のおじいちゃんが立っていた。

「ニセアカシアの木は、六月初期に花をつけるから、今ごろはもう散り終わってしまっているはずなんだがな。」

「どうやら、開花を逃した一輪が、今頃遅れて咲きだしたみたいだなぁ。」
おじいちゃんは少し笑いながら言った。




僕は小さく頷いてそのまま歩き出した。



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