…みかん…
私は初めて亡くなられた方を見た…
寝てるだけなのかも知れない。私はそう思いたかった…
おばあちゃんの死もこんな感じだったか…?覚えていない。
まだ体は温かくて、硬直もきていない。
血の気がひいた顔…私はこの人の名前、生年月日、住所………。だが、この人自身の内面は知らない。
横たわる体には魂がないそれが死?。
日々過ぎてしまう時の中で、この人の時間はここで終わってしまったのか…?
…と思ったら…目が開いてこっちを見てる……!!?
…今日も…怖い夢で目が覚める……
毎日気持ちが不安定で、よく泣いていた。
何がかなしいのか?
解らない…理解されない悔しさ…?
居場所がなかった…辛い…
付き合っていた四つ上の彼は真面目で門限にはいつも送ってくれる様な人だった…。
ある日、帰りたくなかった……。
ずっーと黙っていたが彼に嫌がらせの事を相談した…。
彼は家に誘ってくれた。
私はその一言で救われた。
一度は他へ転院…もしくは病院やめて、バイトでもしながら学校に通う事も真剣に考えたが、辛くても頑張ろうと思えた。
楽しい日が続いた。
ある日、車で出勤する所を見られた…17歳の娘が男の車で出勤。
病院は大騒ぎだった…。
すぐに医院長の耳にも入り、一か月の自宅謹慎…
何故…?
なんで理由も聞いてくれないの?
父も母も誰一人として私の話を聞いてくれなかった…。
「謝れ!」の一言に私は死をも考えた。
父と母は私の味方だと思っていたのに…父と母の冷たさを感じた。
彼が自宅に来てくれた…
父は握り拳をつくり赤い顔をして今にも殴りそうだった…
彼は土下座をしながら謝った…
彼は悪くない。私が悪いのに…誰も信じてくれない…彼まで私のせいで………私が悪いの。
ただ、理由を聞いて欲しかった………それだけなのに…。
数日後…事務長から連絡があった「荷物を早目に取りに来てください。腐ったミカンがあったら他に移ってしまうから…」と母は言われたと。
私は腐ったミカンか………。