何も言えずに見送った背中に涙で震えたさよならが消えない。
君が出て行った、この部屋の隅に無造作に転がった、思い出に微笑む。
目を閉じても君が、まだ浮かぶ訳は、どこかにまだ、愛しさがあるのだろうか。
忘れることの方が、辛いとわかったけれど、君の行方さえ知らずに、言えなかった一言が溜め息に変わって行く。
君と出会えた、あの季節のことを今更になって、大切に思った。
解り合えた、あの頃が嘘のように、何もかも擦れ違う二人だけど。
忘れることの方が辛いとわかったけれど、君の行方さえ知らずに、伝えきれない思いが哀しみに変わって行く。
振り向かずに、感じたい君のことを。