彼と私には10という隔たりがあった。
それは、歳のことでもあるし、身長差でもあるし、当時の収入を比較した数字でもあった。
その全てにおいて、私は彼を上回っていた。
10月01日生まれである私は、01月10日生まれである彼から、プロポーズを受けた。
それは付き合って、10ヶ月たった日のことだった。
この10という数字を、縁と見るか、隔たりと見るかは人それぞれだと思う。
私は…当時の私は隔たりだと感じた。
だから別れた。
彼が、この10を私のように隔たりと感じる前に。
彼は何度も説得に来た。
ずっと愛すると、気持ちは変わらないと。
嬉しくて泣いた日もあった。
でも、私の決意は動かなかった。
そして10年がたった。
先日、改めてプロポーズを受けた。
10年という月日は、彼を驚くほど成長させていた。
私は…?自信がない。
でも、今度こそ、彼を信じようと思う。
10は、きっと隔たりじゃない。