『また、いきなりどうして…』
『いいから』
言われるがまま、僕は佐々木とその兄を入れた。
『実はターコイズは──』
───え?
僕はターコイズのこと──いや、倒れていた本当のわけ──を聞いて、驚いた。
僕のびっくりした顔を見て、いたたまれなくなったのか、親父さんが目を背けた。
ターコイズは、僕たちと戦った時のことを長に伝えていたのだ。
──僕が人と居たいこと、龍魔神のこと、……そして、ターコイズの本心──。
長は激怒したらしい。
長の父親は龍魔神の手によって亡くなっている。怒るのも無理ない。
僕の知り合いにもいるから、そこはなんとなく納得。
しかし、ターコイズの帰宅を確認し、ターコイズの家を押し掛け、まるで気が狂ったかのように(許さん、許さん!!)と口走り、殴り、炎をはき、今のターコイズのようになるまでやったという。
長は帰る前、親父さんにこう言っていたという。
『フン。子は親の背中を見て育つとはまさにこのことじゃな。ゴホゴホ』
──ゴホゴホ!?
『長は、今の長はもしかして!?』
僕は、咳でもないのにゴホゴホ言うクセのある龍を思い浮かべた。
『…アクラインだが!?』
────!!!!!
───アクライン───。
僕の──叔父さ──…。
『うっ…うっ……。』
「龍牙!?」
気づけば僕は泣いていた。
僕がここを出るときの叔父さんは、よく
(コホコホ。いいか龍牙。本当に本当に苛立った相手にしか、力をくわえてはいかんぞ)
と僕に言ってた。
その叔父さんが──。
「龍牙!!大丈夫かよ…」
佐々木とその兄さんが背中をさすってくれた。
『───……。』
ターコイズの父親は黙った。
「…通訳してくれるか?──その…。こんな空気の中悪いんだけど」
僕は、泣きじゃくりながら通訳した。
『……龍牙。いや、リューイガー…』
親父さんはそっとささやいた。
『──…最後に長に会ってくるといい。はしゃぎすぎて倒れたんだ。永くはない。』
─────最後……。
最後というより、最期と言った方がいいだろう。
叔父さん……。
僕は、
あえて 会いに行くことをしなかった。
数日後、
長が亡くなったという知らせが来た。