ロストクロニクル7―19

五十嵐時  2009-06-14投稿
閲覧数[392] 良い投票[0] 悪い投票[0]

「う〜ん、誰かの日記、みたいです」
古ぼけた本を手にフラットは呟いた。
「日記?あの骸骨の日記なのかしら?」
「きっとそうだと思います。その骸骨は子供だったんじゃないですか?」
フラットは本からパールに目を移した。
「あんまり見てないけど、う〜ん、そうだったような・・・違ったような・・・」
パールは首を捻っていたが、フラットは続けた。
「この日記の前半部分は普通の日記のように他愛もない内容ですが、後半になるに連れて書かれていることが・・・」
フラットは渋った。
「なんて書いてんだ?早く言え」
ウェドに背中を押されてフラットは再び続けた。
「例えば『ママどうしてこんなことするの?怖いよ。こんな所』」
「あの骸骨は母親にその建物に閉じ込められたんだろうね」
タクトの口調は重かった。
「それから『今日はママが会いに来てくれた。みんなあたしの力が怖いみたい。でも、どうして?あたしは何もしてないよ。あたしのこと分かってくれるのはクローブだけ』」
「これは!」
タクトとパールは何か閃いたようだが、ウェドにはなんのことだか分からない。
「そして、最後のページには・・・」
フラットは恐る恐る日記の最後のページを広げて三人に見せた。
なんと書いているか分からないが、同じ文字が不規則な並びで殴り書きされていた。
「なんて読むんだい?」
タクトの質問になぜか、周りの空気が止まった。
そして、しばらくしてフラットはその質問に答えた。
「・・・この文字は、全部、『殺す』という意味です」
パールは思わず口を塞いだ。改めて自分のいた場所の不気味さが身に染みた。
「始めに『ママもみんなもだいっきらい!』と書かれています」
パールは手袋を持ち出した。
「その手袋は、僕たちを鏡の世界から出してくれた・・・」
「ええ、『双滅珠』はわたしが持ってた物だけど、この手袋はとても珍しい物なの。この世にひとつしかない。噂では聞いてたけど、本当に鏡の中に入る為の道具があったなんて」
すると突然、四人の目の前に鏡が現れた。
「来たぞ!」
四人は身構えた。
「見ーっけ。こんな所にいたんだぁ」
鏡の中には鏡の中の四人に話しかけるダイヤ、そして、スペースの姿があった。



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 五十嵐時 」さんの小説

もっと見る

ファンタジーの新着小説

もっと見る

[PR]
ラメライナーで激カワeye
話題の涙袋効果も


▲ページトップ