「ただいま〜」 少年はいつもより遅く家に帰りついた。そしていつもより家の中は静かだった。 少年は疑問を抱きつつも靴を脱ぎ部屋に入った。 「…何だよ…これ」 少年はつぶやく。いつも食事をする部屋にはその少年の父と母と弟が血だらけになって倒れていた。 少年はそれを理解できずただ呆然と立っている。 部屋を意味もなく見渡しているともう1人少女が倒れているのに気づいた。 見覚えのある顔、幼なじみの少女だった。 それを見た少年は家族に駆け寄るより先に少女のもとに駆け寄った。少年にとってその少女は家族以上に大切な存在だったのだろう。 「おい!目ぇあけろよ!!」 少年は少女の体を必死に揺すった。 だが少女が目をあけることはなかった。 「ああぁーーーーー!!!!!!」 少年は少女を抱きかかえ涙を流しながら叫んだ。家中に声が響く。 しばらくして少年は叫ぶのをやめた。 ガチャ、 ドアをあける音がして少年は振り返る。 そこには血だらけのナイフを持った少年の兄が立っていた。 少年は怒りのあまり叫び声をあげながらナイフを持った兄の胸ぐらをつかんだ。 少年は目を大きく見開き兄に何か言おうと口を開こうとした。だが少年は口をパクパクさせながら言葉を発することができなかった。 少年の腹部にはナイフが深く突き刺さっていた。 少年は腹部をおさえながらゆっくりと倒れた。 兄は少年を無表情で見下ろした後ゆっくりと部屋を出ていく。 「…おい……待て…よ…」 その少年の言葉を聞いても兄は振り返ることはなかった。 「…く…そ……殺す…………殺してや…る…」 少年は顔をゆがませながら言った。 だが意識はうすれていき少年は動かなくなった。 それから3年の月日がながれた。