「なぁ、翔・・・」
「あ?」
「俺等、ファーベル島に行くんだ」
「ファーベル・・・島?」
「そこに行って、悪党を退治して来るんだ」
「へぇ・・・」
翔は、遠くの方を見ながら言う。
「御前も来ないか・・・?」
「えっ・・・?」
翔の目は草木から啓吾の方へと移った。
「御前の力を貸してほしい」
と、啓吾は言った。しかし、翔はフッと笑って言った。
「馬ぁ鹿。無理に決まってんだろ」
「えっ・・・」
「俺は、御前が思ってるほどの力はねぇよ。それに、御前らがそこに行くなら舞様とかこの町の人とか俺が守んなくちゃな!」
と、翔はニッと笑って言う。
「翔・・・」
啓吾は、ションボリしたような顔をした。翔はそれを見て啓吾の背中をドンと、叩いた。
「そんな顔すんなよ!心配すんなって。俺だけじゃなくて舞様もいるからよっ!」
「べ、別に心配なんかしてねぇよ!」
啓吾はムッとして言う。
「ハハハッ!そんな事言うなって!!」
翔は、バシバシと啓吾の背中を叩いた。
「おっ、じゃ俺そろそろ行くわ」
翔は立ち上がりながら言う。啓吾も立ち上がった。
「サンキューな。翔」
歩き出そうとする翔に啓吾は言った。翔は振り向いて言う。
「行ってこいよ啓吾。負けたら許さねぇかんな!」
と、言って翔は歩き出した。
「負けるかよ・・・」
啓吾は小声で言った。啓吾の後ろでは、夕日が沈もうとしていた・・・