「あー、そういやハノイの街ってどの方向にあるんだろ?」
セレンはハノイの街以外の街に来たのは初めてなのだ。
「やっぱだれかに聞くか」セレンは道行く人に声をかける、が
「ハノイの街なんて聞いたことない。」
誰に聞いてもそのような返事しかかえってこなかった。
数人に聞いたところから周囲の人に見られだしたような気がする。
なによ、あの子供さっきから…
捨てられたんじゃないの…
かわいそうにねぇ…
あちこちからそんな声が聞こえる。
気がしたのではない、実際に見られていた、いや、同情されていたのだ。
セレンは同情されるのが嫌いだ。
いままで、孤児院にいるだけで同情されてきたのだ。それを、セレンは見下されているように感じてきた。
(ちょっと脅かすか、)
この世界では、魔術が使える者は周囲から、距離をおかれる。
魔術は古代に滅びたのだ、だが、まれに使える人間が出てくる。
そのような人間は大抵、そのことを隠しながら生きる。
が、セレンは物心ついたころから魔術を使っている。
そのせいで周りから同情や蔑まれてきたのだ。
だがセレンは魔術を使える自分が好きだった。
自然の力を操るのに爽快感を覚えていた。
「・・・・・せぇい!」
セレンは自分の近くに雷を落とした。
セレンが魔術を使えることが分かると、だんだんセレンの周りからは人が減って行った。
だが、いつまでたっても離れない少女がいた。
「なんだよ、あっち行けよ」
セレンは指先で電気を出しながら、冷たくいいはなつ。
そんなことを少女は気にしていないようだ、
「あんた。いまの魔術だよね」
「ぇ?あ、そ、そうだけど」
セレンは予想外の問いに多少とまどってしまう。
「ここじゃなんだから・・・ちょっと来なさいよ!」
「え?あ、ちょ、」
引きずられながら、近くの家に連れ込まれた。
――――――――――――解説
魔術
魔術は空気中に存在する
魔法素(マナ)
を変化させて発動する。
古代の人間は使えて当たり前だった。
現代の人間でもたまに使えるものが生まれてくる。
魔術には8つ属性が確認されており、
炎
水
風
地
雷
氷
光
闇
が、ある