「もう、今日はやめにしようか。時間も遅いし」
そう言う僕に、
「そうだね…」
そう言って、ちさは片付けを始めた。
沈黙。
このタイミングで。
抑えられなかったとはいえ。
気持ちをぶつけてしまって本当に良かったんだろうか…。
ちさを、困らせてしまったんじゃないだろうか。
明日から僕らは、どんな風に接していけばいいんだろう…。
「送るよ」
「…あ…大丈夫、帰りは慣れてるから」
「や、そんな訳にいかないよ。何かあってからじゃ遅いし」
「……うん…ありがとう」
店の鍵を閉め、ちさの家に向かって歩き出した。
会話はない。
ちさは今、何を想ってるんだろう。
俺は、間違ってたんだろうか…。
沈黙のまま、ちさの家の前に着いた。
「あ…ありがとう。今日は手伝ってくれてありがとうね…」
「いや…」
「じゃあ…おやすみ…」
行こうとするちさを、
「あのさ!」
呼び止めた。
「ホント、今日言った事、気にしないで。俺の自己満足だし、ちさを困らせるつもりなんかないんだ。最後に、みんなといい物を作りたいって、本当に思ってる。余計な事、ちさは考えなくていいから…」
必死な僕の言葉に、ちさは
「……分かった。明日からまた頑張ろうね」
笑顔をくれた。
「おぅ、今まで通り、やっていこうな!」
「おやすみ」
「おやすみ」
そうして、ちさと別れた。