タバコの香

水宵  2009-06-16投稿
閲覧数[225] 良い投票[0] 悪い投票[0]

ある日、君からいつもと違う香りがした。
僕のタバコと違うタバコのにおい。

僕と歩く時君は右手しか繋がない。
左手では触れた事も無い。
左手にはめているピンキ―リング。

僕は君の全てを見たいし僕だけを、僕の全てを愛して欲しいし、愛している。

でも君は違うんだね。
君が全てを愛している人は僕ではありませんでした。


「さよなら…。」
君は僕では駄目なんだね。

僕のネガイ。
僕という人がいたことを忘れないで欲しい。
さよならを隠さないで。
でも、思い出さないで下さい。
二人の男に挟まれて辛かっただろうから。
思い出したら優しい君は苦しむと思うから。
君は僕に背を向けて歩きだした。
『もうこれ以上置いてかないで。』
声にならない叫びは君に届かない。



腕に残るは君の右手に香る僕のタバコが押し付けた火傷。


この熱さが消えたら君との最後―。

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 水宵 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ