ある日、君からいつもと違う香りがした。
僕のタバコと違うタバコのにおい。
僕と歩く時君は右手しか繋がない。
左手では触れた事も無い。
左手にはめているピンキ―リング。
僕は君の全てを見たいし僕だけを、僕の全てを愛して欲しいし、愛している。
でも君は違うんだね。
君が全てを愛している人は僕ではありませんでした。
「さよなら…。」
君は僕では駄目なんだね。
僕のネガイ。
僕という人がいたことを忘れないで欲しい。
さよならを隠さないで。
でも、思い出さないで下さい。
二人の男に挟まれて辛かっただろうから。
思い出したら優しい君は苦しむと思うから。
君は僕に背を向けて歩きだした。
『もうこれ以上置いてかないで。』
声にならない叫びは君に届かない。
腕に残るは君の右手に香る僕のタバコが押し付けた火傷。
この熱さが消えたら君との最後―。