調教と教訓4

うちは。  2006-07-17投稿
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目覚まし時計がなったのは授業開始のベルが鳴るのと同時だった。

「・・・・やばい。」

完全なる遅刻。
どうしてんだろうか。
いっつも何か気合を入れると、すぐに腰が抜けてしまって本調子すら出なくなってしまう癖があるのだ。

「あぁぁぁ〜…最悪だぁぁ…!」

というのも、私は昨日先生と約束をしていたのである。
<明日のおかずは玉子焼きがいいな>
料理ベタな私だけど、これだけは頑張りたかったのに。
「ま、いいか。」
ポツリと呟いてから私は急いで学校へと向かったのである。



それは昼食後の体育の時間。
「尚子。」
案の定彼はちょっとすねていた。
「はい?」
「てめぇ昨日弁当作るって言ったじゃねーかよ!!」
「すいませー!!」
「玉子焼きどうしたよ?た・ま・ご・や・き!」
「何もそこまで言うことないじゃないのよぉー!」

二人でギャースカやっていると、二人の女子生徒が話の輪に加わった。
「どうしたの?佐藤さんも、先生も。」
「いやな、こいつが弁当作ってくれるって言ったのに忘れてきたんだよ。」
「ええ?!佐藤さんこんな奴に弁当作るつもりなの?!」
「おい、こんな奴って何だよ。」
「ダメダメ。先生、佐藤さんには彼氏がもういるんだよ?」
「あ・・・。」

まずい。
一瞬流れる沈黙が妙に長く感じた時だった。

「え、お前彼氏いんの?」
「・・・・いるっていうか、なんていうか……。」
「ふーん、そっか。ちょっかい出してごめんね。」

そういうと先生は私ではない別の生徒の方へと歩いていってしまった。
ズキリ。
どうしてか分からないけど、その時私の心臓は痛み出して
先生に対する後ろめたい気持ちとかそういうものがぶわっとあふれ出てきた気がした。
ああ、もうきっと。
あの先生は話してくれない。

『ちょっかい出してごめんね。』

頭から 離れない。

先生は全然悪くないというのに。

あなたは何も していない。
私だってまだ、お弁当を作っていないよ。

なのに。


ねぇ、先生?

私を見てよ。






──明日は土曜日、天気予報は雨だから私の髪はまたゴワゴワになってちっとも可愛くないんだろうな。──






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