捨てる男、拾う女【裏】

幽玄  2006-07-17投稿
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捨てる神あらば拾う神あり。この世のすべては陽陰対極、二律背反、そして表裏一体。
拾う…ひろう…ヒロウ。そうして生きてきた私だから、当然目の前の状況を見捨てる事なんかできるはずもなく、自分の車から降りて女の子の泣き声が聞こえる横転し炎をあげいる車に近寄っていった。 [女]「大丈夫ですか!?、何があったんですか?」
返事の代わりに泣き声が返ってくる。車の中を見ると親子連れだろうか、運転席に男性が助手席に女性が乗っており、二人とも気絶しているらしくその二人を揺さぶっている女の子がいた。ドアを開けようとするが、開かない…事故のせいで壊れてしまったのか、女の子に声をかけるが錯乱しているのかまったく聞こえていない。 [女]「くッ…、仕方ないわね」
窓を蹴破ろうと脚に力を込める。
[女]「…ッ!?い‥たぁ〜い、何コレ防弾ガラス!?」
窓にはひび一つ入っていない。最初に気付くべきだった、横転しているのに窓が一つも割れてない。[女]「まぁ、この様子だっと普通の車じゃなさそうだし中も安心かな」
安堵してホッと胸をなで下ろしたとき、ボンネットの方で何かが爆発した音が聞こえてきた。
[女]「キャッ!?、いけない!!このままじゃガソリンに引火しちゃう」
いくら特殊な車でもガソリンに引火してしまってはひとたまりもないだろう。私は周りを見渡し何か使えそうな物がないか必死に探した。その時また爆音が聞こえてきた。ボンネットからではない別の場所からだ、さっきの比ではない。近くに雷が落ちたのではないかと思うほどの空気の響きと震えが私の体を突き抜けた。今度は何だ!と思いながら爆音のした方向を見ると、赤雲の煙が登るのが見えた。空が紅く染まっていく。また爆発。どんどん遠ざかっているようだ、赤雲の煙がまた最初の煙より遠くの方であがった。何が起きている?何が起こり始めている?そんな思考のループに堕ちそうになりかけたとき、ループから抜け出させたのは車からの何かが焼き切れた音だった。 [女]「ハッ!?こんなコトしてる場合じゃない!!」
赤雲の煙から目を外そうとした時、視界の隅で光るモノが飛び込んできた。紅く染まった空で反射する小さなでも存在感と期待感を感じさせる光。私はこの感覚を知っていた。知っていたと言うよりほぼ直感に近い。私はいつの間にか光の見える方へ走っていた。
…‥続きます



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