子供が産ませてから6ケ月が経ち、ようやく淳と亜子は籍を入れた。
「遅くなって、悪かった。」と淳は亜子に話をした。
亜子は淳の給料の残りの10万と亜子の給料を合わせても、ギリギリの生活で、保育料は亜子の貯金から出ていく…。
淳の申し訳なさは亜子にとって裏目に出た。何故なら、亜子が話し合いを持とうとしても、ちぐはぐな事でしかなく、どんどん精神的に動けない状態に陥ってきた。
そんなのでは生活は出来ないと感じる一方で、動けなくなる自分がいて、苛立ちを感じていた。
どうして正面を向いて話を聞いてくれないのか…。 淳には届かないのか…。
亜子は疲れた。もう働けない…。産後に紛れていた、淳の嘘があった生活が妙に亜子にのしかかり、淳に助けて欲しかった。仕事は好きだし、懸命にしたい。 でもあの生活の中での淳の心が本当にどこにあったのか知りたい…。
が、淳は話そうともしない。
聞いても…聞いても… 話そうとしない淳の傍らで亜子は苦しんだ。
やがて亜子は働けなくなり、会社を辞めた。