私は何だ。
他者との関わりを持てず、自分というものすら確立されていない。
誰とも向き合うことができない存在の私が、社会という名の完成したシステムに認められるはずがない。
枠から外れる者はひたすらに孤独の道を辿る。
「そうか。だから私は死神なんだ」
私がかつて人間であったとしたのならば、きっと同じような存在だったのだろう。
ならば、もう間違いない。生前というものがあれば
「私は生きていながらにして死んでいたんだ」
だから私は今まで死神として、自分を持つことができなかった人間の死に際に立ち会ってきたのか。
そして今夜も。
俯せに倒れている少女、傍らには半分以上空けられた睡眠薬の瓶。
自殺を謀った少女の顔を見たくはなかった。動悸が止まらない。
彼女の息はまだあり、むせた反動で横顔が見えた。
わかっていた。それが自分だということは。でも急に涙が溢れた。
神は無慈悲すぎる。いつも通り、死神の私は操られ鎌を振り上げる。
本能でわかる。役目を果たしたら、本当に私という存在が消えてしまう。私自身の中からさえもいなくなってしまう。
お願いです。私を助けてください。