アホの竜一が今晩犯人を探そうと言い出た…俺は当然反対したが竜一のヘラヘラしているようで本気の表情に負けた。見渡しのいい学校の屋上に張り込んで犯人を見つけ出す作戦を考えた。
夜
拓也『こんなの見つかったら、めちゃくちゃに怒られるだろうな』
竜一『佐々木がやれって言いました、ってちゃんと言うから』
拓也『勝手にしろと言いたいとこだがやめろ』
時計の文字盤を見ると、夜の七時。
竜一『お腹と背中が運命的な出会いを果たしそうだ』
拓也『そりゃ感動もんだな』
夜八時。
街にはパトカーだとかが走り回っている。
竜一『いねぇなー』
拓也『ああ…』
竜一『ホント、いねぇなー』
拓也『…』
竜一『全然いないな』
拓也『…』
竜一『おい聞いてんのかよ!』
拓也『黙れ』
少し強めに言った。
竜一『へ?』
拓也『静かにしろ。見つかるぞ』
耳元に口を寄せて、できる限り小さな声を出す。
竜一『…あぃょ』
せいぜい今の言葉では先生に見つかるとかぐらいにしか伝わってないだろう。
竜一『んで、どこにいんだよ』
拓也『見えなくなった』
竜一『こら』
拳骨で殴られたが、そんなことに構ってる暇はない。
ガチャ。
屋上のドアを開ける。
拓也『逃げるぞ』
竜一『誰から?俺を置いてきぼりにする気か?』
拓也『………奴だ』