達也
「さ、さてと…駅前まで送っていくよ」
ヒビキ
「そうですか?ありがとうございます。達也さん」
そう言うと僕とヒビキは玄関へと向かって行った。
美奈
「えっ…帰るんですか?」
ヒビキ
「はい。これ以上、匿ってもらうわけにはいきませんから」
美奈
「そ、そうですか……」
ヒビキ
「それではごきげんよう」
そうヒビキが答えると僕たちは家を出た。
少し歩いた所に公園があったので僕たちはそこに入った。
達也
「もういいんじゃないかな?ヒビキ」
ヒビキ
「そうだね。うーーんっと!」
身体を伸ばすとさっきまでのヒビキの面影はなかった。
達也
「それにしても驚いたなー!ヒビキがあんな喋り方するなんて」
ヒビキ
「あんたも私のことどう見てるのよ!まったく……」
そう言うと少し怒った表情をしながら僕を見て言った。
ヒビキ
「リェール学院の女の子は全員こんな感じだよ。
風紀を乱さないためだって先生が言ってた」
達也
「なるほどね………そういえばさっきはごめん」
ヒビキ
「えっ?なにが?」
ヒビキは、きゅとんした顔をして僕に言った。
おいおい…不可抗力とはいえさっき君の胸を触ってしまったでしょうが……
ヒビキ
「あーさっきのことか…達也、ちょっとこっちに来て」
達也
「?……うん」
僕はヒビキの方に近寄って行った。
いったいなにをする気なんだヒビキは?
そう思っていた矢先だった。突然、頬を強烈なビンタが僕を襲った。
達也
「いって〜〜!?何する……」
ヒビキ
「これで先したことチャラね!」
だったら一言、言ってくればいいのに……しかも容赦なし…
僕がそう思っているとヒビキの身体に異変が起きているのに気付いた。
達也
「!!……ヒビキ、身体が透けて…きてるよ!!!」
ヒビキ
「あー多分タイムリミットがきたみたい」
達也
「タイムリミット?」
ヒビキ
「実体化には一時間のタイムリミットがあるの。そろそろ一時間なんだろうね」
そう言った次の瞬間にはヒビキは消えていた。
後ろを振り向くと実体化になる前と同じで後ろにふわふわと浮いているヒビキがそこにいたのだった。