「…アキって意外と乗り物好きなんだね」
「そう?普通じゃない?」
「何か、昔もこんなことが合った気が…」
「気っ気のせいじゃない?」
「そうかなぁ?」
夜の7時過ぎ。
「そろそろ帰ろっか」
「うん、そうだね」
…横断歩道、信号は赤。
次はどこに遊びに行こうかなぁ〜
なんて考えてるうちに、信号が青になった。
横断歩道を真ん中辺りまでいって、アキに振り向く。
「アキ」
「なぁに?」
「これからもさ」
「うん」
「ずっといっしょにいようね」「〜」
私が言い返そうとした瞬間、
キキィー、ドンという音がした。
「えっ?」
一面、赤のいろ。
何があったか頭が働かない。
「キャー!」
誰かが叫び声をあげ、
私は我に返って彼の近くまで
駆けつけた。
「カズヤ、カズヤ死なないで!」
「…その…名前で俺を呼ぶのは…」
今にも消えそうな声で答える男。
「うん。私はカズヤと幼なじみだったアキだよ…」
「…ぁぁ…」
昔、男より男らしい女がいたなんてことを。
「おい、男女〜」
からかう男数人。
どうせ、いつものことだ。
ムシしよう。
私がそう思った瞬間、
「からかうのやめろよ」
俺は反射的にそういっていた。私は何度もカズヤに救われていた。
だから、あの日
「私、今日引っ越すんだけど、カズヤに言いたいことあるんだ」
「なに?」
「私、カズヤのこと好き」
「えっ?」
「私、カズヤに何度も救われていた。その度にカズヤのこと思っていたの!」
「おっ俺…」
わかってた。幼なじみだから。カズヤはもっとおしとやかな子が好きなんだって。
「もう、いかなきゃ」
「アッアキ!」