真田はホールに集まった男子生徒の注目を浴びていた。
クリッとした目、色白の肌、それに華奢な体‥遠目で見ると女に思えるほど似合っていた。
男子生徒の中には携帯電話のカメラで真田を撮る者もいた。
「じゃあ、早速だか痴漢の対策講習を始めますので誰かに手伝ってもらおうかな?」
先輩の峰島が教壇に立つと一番前に座っていた男子生徒二名を指名した。
「そこの二人、ちょっと前に出てきて下さい。」
出てきた男子の一人は男前、もう一人は太めで脂ぎった顔の男子。
彼らはゆっくりと壇上に上がって、真田の隣にきた。
「じゃ君はこの人に痴漢する役で、貴方はこの人から痴漢から守ってあげて下さい。」
(えっ、そういうことなの?)
真田は自分の勘違いに顔を赤くしてしまった。
「おいおいあの子、顔を赤くしてるぞ。」
前で見てる生徒達に真田は冷やかされていた。
「それでは痴漢役の君はこの人が本当の女の子だと思って痴漢して下さい。」
痴漢役は男前の男子がすることになった。
「いいんですか?」
その男前は耳元で囁くと、遠慮がちに痴漢をし始めた。
真田はあまりの遠慮さに男子生徒に可愛いさを感じつつ、何か物足りなさを感じていた。
(もっと触っても大丈夫なのに‥。)
痴漢役の男子の指先が真田の身体を這っていく。
その指先は肩と背中を繰り返しだった。
「そんな痴漢いるか? もっと大胆に触れよ。」
耐え兼ねた峰島は痴漢役の男子の手を握ると真田のお尻に押さえつけた。
「あっ、イヤッ!」
真田はちょっと悲鳴を上げた。
「なっ、こうやって触ると女って声出しちゃうんだよ。 ほら、もっと触って。」
痴漢役の男前は真田のお尻を触り始めた。
しかもすごく大胆に‥
(マジ? 何だよ、さっきと違うじゃん、こいつ。)
真田の顔つきが変わって、本当に嫌がっているような顔になってきた。
「よし、じゃあそろそろ痴漢被害に遭ってるこの人を助けてあげようか。」
峰島は助ける役の男子に何か指示をすると、まるで演出家のように男子生徒二人に指示をした。
「そうそう、痴漢は激しく‥助ける人はまだ出ちゃダメだよ。」
峰島の指示通りに痴漢役の男子は激しく、真田のお尻どころか胸や股関節も触ってきた。
(ちょっとマジかよ。本当に痴漢してやがってこいつ。)